鬱陶しい梅雨の時期に入り、洗濯物が乾きにくい今日この頃、皆様いかがお過ごしですか?

《片頭痛について》

 

どんな病気か?

慢性の頭痛で機能性のもの、すなわち明らかな脳の器質的病変を伴わない頭痛には、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛があります。

片頭痛は人口の約8%、緊張型頭痛は約20~30%にみられ、群発頭痛は稀です。

片頭痛は一般に発作性にみられる片側性の脈拍に一致した拍動性の頭痛で、悪心・嘔吐を伴い、光や音に対して過敏になります。

しかし、両側性で非拍動性の場合でも、日常生活が妨げられる。

程度の痛みで、階段の昇降等日常的な動作により頭痛が増悪すれば、片頭痛と考えられます。

片頭痛は女性に多く(男性の約3倍)、比較的若い年齢層によく起こります。

片頭痛には前触れ(「前兆」と呼ぶ)を伴うタイプと前兆を伴わないタイプがあります。

前兆としては、視野の中心付近から始まりキラキラ光る境界をもつ暗点(見えない部分:閃輝性暗点)や視野障害等が典型的ですが、半身の感覚障害や運動障害、言葉が出にくくなる状態等がみられる事もあります。

この前兆は一般に1時間以内に消え、その後頭痛が続いて起こります。

この前兆より前に、食欲亢進、あくび、感覚過敏、むくみ、興奮、疲労感、空腹感等の気分の変調が1~2日間にわたってみられる事もあります。

 

原因は何か?

片頭痛の痛みは、従来、血管の拡張によるものと考えられてきました。

すなわち、片頭痛の前兆期には、血管が収縮することにより脳血流が低下する為前兆の症状が現れ、頭痛期には血管が拡張に転じ頭痛が生じるとの説で、血管説と言われて来ました。

しかし、脳血流が低下している時期にすでに頭痛が始まる事が明らかになり、痛みの原因として脳血管の周囲に分布する三叉神経が注目されました。

この血管の周囲には神経伝達物質であるニューロペプチドがあり、これが遊離し、血管拡張や血管周囲の炎症が起こり痛みを発するとの説で、三叉神経血管説と言われています。

 

症状の現れ方

片頭痛の2~3日前から食欲亢進、あくび等の予兆がみられ、次に前兆としては、前述した閃輝性暗点等の視覚症状、あるいは感覚障害、運動障害等が、大脳皮質または脳幹起源の神経症状として現れ、一般に4~60分間続き、この前兆が消えてから60分以内に頭痛が始まります。

頭痛は脈拍に一致した拍動性の事が多いのですが、拍動性ではなく持続性の事もあります。また、頭痛は片側性の事も、両側性の事もあります。

しかし、痛みの程度は一般に強くなる事も見られます。

頭痛の持続時間は長くとも3日以内で、一般には睡眠により軽くなります。

 

検査と診断

片頭痛は機能性の頭痛で、片頭痛の診断は主に頭痛の性質や随伴症状等についての患者様からの情報によってなされます。

しかし、脳の器質的疾患を除外して、初めて診断が可能になります。そのため、診断をする際にはCTやMRI等の脳の画像診断も行う必要があります。

また、1回目の頭痛で片頭痛と診断をすることは危険と考えられており、前兆のないタイプでは少なくとも5回、前兆のあるタイプでは少なくとも2回、同様な頭痛を認めた場合に片頭痛という診断がつけられる事になっています。

これは、軽症のくも膜下出血等の器質的疾患を見逃さないようにする為に重要であると考えられます。

 

治療の方法

片頭痛の治療には、頭痛時の急性期治療と予防的治療があります。

頭痛時の急性期治療

スマトリプタンというセロトニン受容体に作用する薬が第一選択薬として片頭痛に用いられて効果をあげてきた。

日本でも、スマトリプタンの注射薬が2000年に認可され、翌年にはスマトリプタンとゾルミトリプタン(ゾーミッグ)が経口薬として認可された。

これらは、トリプタン製剤と呼ばれますが、頭痛が始まってからでも効果がある点で使用しやすく、約60~70%の患者様に有効で、片頭痛の発作に伴う悪心、嘔吐、光過敏、音過敏等の随伴症状に対しても有効である事が示されてきました。また、ひとつのトリプタン製剤が無効

でも他のトリプタン製剤が有効で事もしばしば、 現在、日本では5種類のトリプタン製剤が使用可能。従来から使用されていたエルゴタミン製剤は、前兆の時期に投与すると効果がある事が 知られています。

しかし、エルゴタミン製剤は、この時期を逃して頭痛期になってから投与したのでは効果が出ません。

現在では、大多数の片頭痛の患者様に対しては、効果・副作用の観点からトリプタン製剤の方が良く、エルゴタミン製剤は、片頭痛の発作回数の少ない場合、あるいは発作の持続時間が長い場合のみに用いるという点で専門家の意見が一致しています。

また、頭痛の程度が軽い場合には、まず消炎鎮痛剤から試み、これが有効でない場合にトリプタン製剤を試みるという段階的な治療法もあります。

頭痛発作時に悪心・嘔吐が強い場合には、通常の内服錠剤では十分な効果が得られない事が少なくありません。このような場合には、ドーパミン拮抗薬であるプリンペランやナウゼリン等の制吐薬を併用すると効果的です。

予防的治療

 片頭痛の発作がしばしばあり、急性期治療だけでは十分に治療が出来ない場合や、急性期の治療が薬の禁忌(使用を禁じられていること)や副作用の為に出来ない場合、また急性期治療の乱用が見られる場合等には、片頭痛の予防的治療を考慮しなければなりません。

従来から、予防的治療としてβ遮断薬のインデラルや、抗うつ薬のトリプタノール、抗けいれん薬のデパケン等が有効とされて用いられてきました。

近年、Ca拮抗薬のロメリジン(テラナス、ミグシス)が開発され、頭痛の頻度と程度が軽減される事が明らかになり、現在臨床の場で広く使用されている。

予防薬を使う基準としては、まず発作の頻度が挙げられます。最近は、1ヶ月に3~4回以上、支障度の強い頭痛発作がある場合には、原則として予防薬を使用する事が推奨されています。

病気に気付いたらどうする?

トリプタン製剤が開発されて以来、片頭痛に対して有効な治療を行う事が出来るようになってきたので、早い時期に神経内科や脳外科の専門医の診断を受け、治療を受ける事が大切。

最近は、有効な治療法としてトリプタン製剤がありますが、頭痛の程度によっては、消炎鎮痛剤が有効である事も多いので、治療に関しては専門医とよく相談を。また、従来使用されてきたエルゴタミン製剤やトリプタン製剤、消炎鎮痛剤等の過剰投与により*薬物乱用頭痛が 生じる事が知られているので、薬剤の服用量に関しても専門医によく相談を。

*<薬物乱用頭痛>

 頭痛薬の投与で頭痛が起こる場合がある事はあまり理解されていません。

 急性期頭痛治療薬(エルゴタミン、トリプタン、鎮痛薬、オピオイド)の乱用による 頭痛の頻度は高く、頭痛患者様の約8%に薬物乱用頭痛が認められる。

 片頭痛や緊張型頭痛の患者様において、薬物乱用中に新しいタイプの頭痛が出現したり、片頭痛や緊張型頭痛が著明に悪化した場合は、薬物乱用頭痛(Medication-overuse headache)を考慮すべきです。

「薬物乱用頭痛」は、これまで反跳性頭痛、薬物誘発頭痛、薬物誤用頭痛等と呼ばれてきた頭痛です。薬物乱用頭痛は二次性頭痛に分類されてはいますが、しばしば一次性頭痛と合併して出現します。

 頭痛が起こりやすい人は中枢性痛覚抑制系が抑制されており、鎮痛薬乱用により中枢性痛覚抑制系がさらに抑制される為に薬物乱用頭痛が起こると言われるが、実際に何故薬物乱用により難治性の頭痛へと変容化していくのか詳しい事は解かっていない。

 薬物長期乱用に伴う頭痛治療の基本は、①原因薬剤中止 ②薬剤中止後に起こる頭痛への対処  ③予防薬の投与です。

 薬物長期乱用に伴う頭痛は、原因薬物の服用中止により1~6ヶ月間は70%程の症例で改善が得られる事が多いが、長期予後では約40%が再び薬物乱用に陥ると言われています。

 

「庄内つうしん」担当Tでした✌

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