11月に入り年末に向けての準備を始める時期と共にインフルエンザが猛威を ふるう時期にもなりました。
《インフルエンザ》について
■ 概要
インフルエンザとは、インフルエンザウィルスにより引き起こされる急性ウィルス性疾患です。
例年、11月頃から徐々に患者が増え始め、1月頃に流行がピークに達し、4月過ぎに収束する傾向があります。
子供の場合特に学校生活の枠組みで考えると、冬休み明けに集団生活が再開される事もあり、同時期に学級閉鎖が起こるほどの集団流行が生じる事も稀ではありません。
インフルエンザは自然治癒する事もある為、必ずしも抗インフルエンザ薬が必要な病気ではありません。
しかし、肺炎や脳症を発症するリスクもある為、風邪とは区別して考えるべき病気と言えます。
治療を必要とするかどうかは、重症度や合併症の有無によって異なります。
その為、医療者には注意深く観察する姿勢が求められる。
■ 原因
インフルエンザウィルスは咳や鼻水等の飛沫感染や接触感染をきっかけとして伝播します。
インフルエンザウィルスにはA型、B型、C型の三つの型があります。このうち、冬に流行する「季節性インフルエンザ」を引き起こす型は、A型とB型です。
インフルエンザウィルスには様々な種類がある為、一度かかっても翌年以降、違うインフルエンザウィルスに感染する事があります。
季節性インフルエンザ以外には、「新型インフルエンザ」があります。
新型インフルエンザとは、動物のみに流行していたものが、突然変異的にヒトにも病原性を示すようになったものを指します。
季節性インフルエンザと異なり、ほとんどの方が初めて直面するタイプである為有効な免疫を持っていません。
その為、世界的な大流行を引き起こし、死亡率も高くなる可能性があります。
■ 症状
インフルエンザの典型的な症状は、急激な発熱や悪寒戦慄等、急激な上気道症状です。
また、同時に、筋肉痛や咳鼻水等の症状が現れます。
インフルエンザは咳や鼻水を介して飛沫感染し、1~2日程度の短い潜伏期間の後に発症します。
38度以上の高熱が3~5日持続した後、解熱していくという経過を辿る事が一般的です。
しかし、熱が高くならない場合や長引く場合もあり、経過には個人差があります。
また、一度解熱してから再度発熱する二峰性発熱と呼ばれる熱型をとる事もあります。
二峰性発熱の場合は、インフルエンザの自然経過なのか、肺炎等の合併症による発熱なのか、病院で正しく判断を受ける事が重要です。
新型インフルエンザでは、下痢や嘔吐等の消化器症状が見られる事があります。
また、肺炎や脳症等の合併症にも注意が必要です。
合併症を発症している場合、以下の症状が現れる事があります。
・発熱の期間が典型的なインフルエンザの例よりも長くなる
・咳がひどくなり呼吸が苦しくなる
・意識状態がおかしく、痙攣を起こす
等
幼児を中心とした小児においては、急性脳症を発症する危険性が高い事も知られています。
意識障害や痙攣を起こす事もあり、より集中的な治療が必要になります。
[学童期のお子さんにみられる事のある症状]
学童期のお子さんは、通常と比べて意識状態が変化しやすい事が知られています。
うわ言をしゃっべたり、突然部屋から飛び降りたりする事もあります。
その為お子さんがインフルエンザに罹患している時には、周囲の方がそばにいて、突発的な事故が起きないように注意深く見守る事が大切です。
■ 検査と診断
インフルエンザの診断には迅速キットが使用される事があります。
鼻から長細い棒を入れて鼻咽頭から検体を採取した後、キットを用いてインフルエンザウィルスの有無をチェックします。
しかし、検査結果を正確に判断するには、ある一定量のインフルエンザウィルスが存在する事が必要です。
インフルエンザ発症初期にはウィルス量が少ない事もあり、発症間もない時期に検査を行うと結果を誤って解釈する事もあります。
また、インフルエンザの検査時に合併症の有無も検査する事があります。
肺炎の有無を確認する為には、胸部単純レントゲン写真検査を行います。
脳症の有無を確認する為には、脳波検査やMRI等の検査を行います。
■ 治療の方法
インフルエンザの治療薬には、内服薬、吸入薬、点滴薬があります。
早期に治療を行う事で高い効果が期待出来る為、発症後48時間以内に開始する事が良いとされています。しかし、実際には症状や経過をみながら治療方針を決定します。
但し、インフルエンザ治療薬の中には、小児に対して原則使用してはならないとされている内服薬もあります。やむなく使用する場合も、異常行動等の副作用が発生しないよう、注意
深く観察する必要があります。
また、治療法は重症度や患者様の持病を考慮しながら決定します。特に喘息や心臓疾患、腎臓疾患等を抱えている患者様の場合、インフルエンザが重症化するリスクが高くなります。
その為、このような患者様には積極的な治療を検討する。
■ 予防
インフルエンザに罹患しない為の予防策も大切です。
手洗い、うがい、マスクの着用等を心掛けましょう。新生児や乳幼児がいる御家庭においては家庭内にウィルスを持ち込まない為の努力も必要です。
また、ワクチン接種を受ける事も予防法の一つです。
「庄内つうしん」担当Tでした✌